ライフスタイルでキレイになるDOCTOR PLUS+
第1回 ランニングとは?
第2回 心停止を予防するには?
第3回ランニング編3「熱中症」とは?第3回 <ランニング編3>「熱中症」とは?第5回 腰の痛み vol.1 〜筋・筋膜性腰痛症〜
ランニング Q&A
第2回 <ランニング編2>「心停止」を予防するには?

3月に行われた東京マラソンでは2人の方が心停止になり、救急車で運ばれるということが起こりました。過去にはバレーボールやサッカーの試合中における心停止が報告されており、スポーツ活動中の心停止による突然死は決して珍しいものではありません。 安全かつ健康的なランニングをするためには、どのようなことに注意をすればよいでしょうか?

心停止が起こる原因は?
心停止の主な原因とされる「心不全」とは、心臓の血液拍出量が不足することで、全身が必要とする血液の循環量を保てなくなる状態のことを言います。大きくは急性と慢性の2つに分類できますが、一般的に多いのは心筋梗塞などを引き起こす急性心不全と言われています。
「心不全」の起こる原因としては、暑熱や寒冷環境などの気候、仕事や家庭での心理的・肉体的ストレス過多や睡眠不足、過度の飲酒や喫煙、肥満や高血圧などが挙げられますが、ほとんどの場合は、いわゆる「生活習慣病」を長く放置した結果、血管が狭くなり少しの負荷で心臓が機能しなくなってしまうものや、先天的(生まれつき)にもともと心臓に問題があったというケースです。
ランニングにおけるリスク
健康作りのための運動指針「エクササイズガイド2006」(厚生労働省)では、ランニング時の心拍数は通常の2倍になるとされています。フルマラソンなどの長時間のランニングや急激にペースを変えて走ることは、心臓への負担をさらに大きくします。また、普段は全く運動をしていない方、生活習慣病を長い間放置されていた方、ストレスや疲労が溜まっていたり睡眠不足の方などはより危険性が高いといえます。
3月の東京マラソンでは3万人の参加者中16人が救急搬送され、うち2人が心肺停止状態でAED(自動体外式除細動器)による応急処置を受けたそうです。
もしもランニング中に起きてしまったら
突然心肺停止が起きた場合、蘇生率は1分ごとに10%づつ減少していき、5分以上続くと死に至る可能性が非常に高くなります。もし起きてしまった場合には迅速かつ適切な応急処置が必要です。意識の確認を行った後、救急車とAEDの手配・準備、呼吸・脈拍の確認を行い、心臓マッサージまたはAED(自動体外式除細動器)を使用するという手順が一般的です。
こういった初期の一次救命処置(BLS:BasicLifeSupport)が生死を分かちますので、運動仲間で勉強をしたり、またこれらBLSの資格を持つ専門トレーナーのもとで運動をするのがよいでしょう。
予防のためには
「心停止」を避けるためには、普段から自分の体のことをよく知ることが大切です。まずは普段からランニング前とランニング中の心拍数を把握し、無理のない範囲で運動をすることを心がけましょう。また生活習慣にも気を配りましょう。
そのうえでランニング前後のウォーミングアップとクーリングダウンを欠かさず行えば、ある程度の予防ができます。
【ウォーミングアップのポイント】
柔軟性や疲労感、食欲などコンディションは日によって違います。その日の健康状態を確認しながら、ストレッチと共にウォーキング、ジョグなどを併せて行うことで、心臓と筋肉の血液循環が活性化され、体温上昇や酸素運搬能力の向上など、運動に向けた「身体」の準備ができていきます。
※ストレッチの内容例はこちらでご紹介しています。
 
【クーリングダウンのポイント】
ランニング終了後はすぐにクーリングダウンをすることが重要です。急な運動中止は、心臓に多大なストレスをかけてしまいます。心拍数や呼吸を落ち着けるためには、ゆっくりと時間をかけてのストレッチが効果的です。また、脱水による二次的な心停止の予防として、スポーツドリンクなど電解質を多く含む水分を補給することも大切です。
※ストレッチの内容例はこちらでご紹介しています。